先に答えを言います。レモンサワー用の炭酸水は、①甘みも香料もない「無糖のプレーン」②できれば「強炭酸」③その日に使い切れる「小さめサイズ」の3つで選べば外しません。ただ、レモンサワー専門店をやっているぼくの本音を言うと、銘柄選びよりずっと大事なことがあります。レモンサワーはグラスの中身の3分の2以上が炭酸水なのに、材料の中でいちばん雑に扱われがちだからです。この記事では、選び方の3つの基準と、買ったあとの扱い方、そしてうちの店でやっている注ぎ方の3か条までお話しします。
炭酸水の選び方。基準は3つ
① 無糖のプレーンを選ぶ
レモンサワーの香りの主役はレモンです。甘みやレモン香料が入った炭酸水で割ると、そちらの香りが先に立って、生のレモンや皮の香りとぶつかります。割り材にするなら、何も足されていない無糖のプレーンが基本。レモンの味はレモン側の材料で決めて、炭酸水には「冷たさと泡」だけを担当してもらう。役割を分けると、味の調整が一気に簡単になります。
② 強炭酸は「保険」と考える
炭酸は、注ぐとき、氷に触れたとき、時間が経つほど抜けていきます。最初のガスが強い炭酸水なら、多少抜けてもまだシュワッとした刺激が残る。つまり強炭酸は、味を良くする魔法というより「多少の失敗をカバーしてくれる保険」です。炭酸の刺激が弱いと、同じ分量で作っても「なんだか薄い」と感じやすくなるので、迷ったら強炭酸を選んでおけば安心です。ただし後で書くとおり、注ぎ方が雑だと強炭酸でもちゃんと抜けます。
③ その日に使い切れるサイズを選ぶ
炭酸水は開けた瞬間から抜けていきます。レモンサワー1杯に使う炭酸水はおよそ135〜150ml。500mlのペットボトル1本で約3杯ぶんです。お得だからと1Lや1.5Lを買って、翌日「飲みかけの炭酸」で作ると、注ぐ前から勝負が決まってしまう。晩酌の杯数に合わせて、その日に使い切れるサイズを選ぶほうが、結局いちばん美味しくて無駄がありません。
正直に言うと、ぼくも炭酸は何も考えていませんでした
えらそうに書きましたが、告白します。ぼくは瀬戸田レモンのペーストや果汁といった「レモン側」の素材には、仕事として何年も飲み比べるほどこだわってきたのに、家の炭酸水は特売の箱をなんとなく買っていた時期があります。家で作ると、なんか薄い。だから焼酎のせいだと思って、どんどん濃くして、どんどん酔っていました。
でも、よく考えたら当たり前なんです。レモンサワーの中身で、いちばん量が多い材料は炭酸水。グラスの3分の2以上を占める主成分を雑に扱って、残りの3分の1でどれだけ頑張っても、味は取り返せません。薄さの犯人はお酒の量ではなく、炭酸の扱い方でした。ここに気づいてから、家の一杯が目に見えて変わりました。
買ってからの3か条:冷やす・開けたて・混ぜない
銘柄をどれだけ吟味しても、扱い方で台無しになります。うちの店でもそのまま守っている3か条です。
- 冷蔵庫の一番奥でキンキンに冷やす:炭酸は温度が低いほど水に溶けていられます。常温の炭酸水は、栓を開ける前から抜けやすい状態。買ったらまず冷蔵庫の一番冷える場所へ。
- 開けたてだけを使う:一度開けた炭酸水は、栓を閉めても少しずつ抜けていきます。レモンサワーには開けたてを。残りはそのまま飲む用・料理用にまわしてください。
- 混ぜない。混ぜるなら底から一回だけ:マドラーでぐるぐる混ぜると、せっかくの泡がそこで逃げます。炭酸を注いだ時点で中身はほぼ混ざっているので、仕上げは底からすくい上げるように一回だけで十分です。
専門店の注ぎ方3か条
最後の仕上げが注ぎ方です。氷に当てて上からドボドボ注ぐと、炭酸がそこで暴れて抜けます。うちの店では、こう注いでいます。
- ① グラスを傾けて、内側をつたわせる:炭酸を氷に直接当てない。グラスの壁を静かにすべらせて、氷のすき間に流し込むイメージです。
- ② 注ぎ口はグラスの縁すれすれから:高いところから落とすほど泡が立って逃げます。ペットボトルの口をグラスの縁につけるくらいの近さで。
- ③ 一回で注ぎ切る:ちょっとずつ足すと、そのたびに炭酸が暴れます。分量を決めて、一回で静かに注ぎ切ってください。
同じレモン、同じお酒、同じ炭酸水でも、この3つだけで一口目のシュワッとした感じがまるで変わります。腕や才能の話ではなくて、手の動きの話。今夜からできます。
炭酸が整ったら、次はレモンの番です
瀬戸田レモンを皮ごとすりおろした無添加・非加熱の生レモンペーストなら、キンキンの炭酸水とお酒に混ぜるだけで、皮の香りが立つ一杯になります。レモンペーストは冷凍で3年もつので、炭酸水と違って「使い切りの焦り」もありません。
家のレモンサワーを一段変えるなら分量の目安と、氷・グラスの話
分量はお酒1:炭酸水3が基本です。グラス1杯なら、お酒45ml+炭酸水135mlくらい。お酒は焼酎に限らず、ウォッカやジンなど幅広く使えます。詳しい比率と手順はレモンサワーの黄金比の読みものにまとめています。
そして炭酸の泡を最後まで守ってくれるのが、溶けにくい氷と冷えたグラスです。氷が溶けにくいほど味が薄まらず、グラスが冷えているほど炭酸も長持ちする。この深掘りは氷とグラスの読みものでどうぞ。
「レモンにこだわる人は多いのに、グラスの3分の2を占める炭酸水は、なぜかいちばん雑に扱われている。家のレモンサワーの伸びしろは、実はここにいちばん残っています。」
— レモンザムライ(レモンサワー専門店「曖昧時空」店主)
よくある質問
- 強炭酸じゃないとダメですか?
- 普通の炭酸水でも、キンキンに冷やして開けたてを静かに注げば十分美味しく作れます。強炭酸は「注ぎ方が多少雑でも泡が残る保険」と考えてください。逆に、強炭酸でも常温の飲みかけを上からドボドボ注げば、ちゃんと気の抜けた一杯になります。
- 炭酸水メーカーで作った炭酸でもいいですか?
- いいと思います。作りたてはガスが元気なので、レモンサワーとの相性は良いです。コツは、よく冷えた水でガスを入れること。炭酸は冷たい水のほうがよく溶けるので、常温の水で作るより強くきれいな泡になります。
- レモン風味の炭酸水で作ってもいいですか?
- 作れますが、香料のレモンの香りが先に立って、せっかくの生のレモンや皮の香りが隠れてしまいます。レモンはレモン側の材料で足して、炭酸水は何も入っていない無糖のプレーンにする。役割を分けたほうが、味の調整がずっと簡単です。
- 残った炭酸水はどうすればいいですか?
- 栓をしっかり閉めて冷蔵庫に立てて入れておけば翌日も飲めますが、一度開けた炭酸は少しずつ抜けていきます。レモンサワー用には開けたてを使い、残りはそのまま飲む用・料理用にまわすのがおすすめ。だから最初から、その日に使い切れるサイズを買うのがいちばん合理的です。
まとめ:銘柄で迷うより、冷やして、開けたてを、静かに注ぐ
炭酸水の選び方は、①無糖のプレーン ②強炭酸 ③使い切りサイズ、の3つ。そして選んだあとは、冷蔵庫の一番奥でキンキンに冷やし、開けたてを、グラスの内側をつたわせて一回で注ぎ切る。どれも今夜の晩酌からできることばかりです。グラスの3分の2以上は炭酸水。ここを整えるだけで、同じ材料のまま、家のレモンサワーは一段上がります。
冷凍庫に1本、レモンの素があると毎晩が変わります
瀬戸田レモンを皮ごとすりおろした無添加・非加熱の生レモンペースト。キンキンの炭酸水で割るだけで、皮の香りの一杯に。レモンペーストは冷凍で3年ストックできます。
炭酸で割るだけの生レモンペーストを見るレモンザムライ公式サイトへ