週末に仕込んだカットレモンが、週明けの冷蔵庫で香りの抜けた状態になっている。輪切りの両端は最初から捨てている。手で搾ったあとの果肉には、まだ果汁が残っている——。レモンの仕込みロスは、伝票に載らないまま、毎月静かにお金を捨てています。ぼくはレモンサワー専門店を自分で運営しながら、国産レモンの卸販売でいろんな飲食店さんと話してきました。この記事では、レモンのロスが出る4つの場所と、生レモンの良さを活かしたまま「捨てる量」を減らす方法をまとめます。
目次
レモンのロスは、4つの場所で出ている
最初に答えを言い切ります。レモンの仕込みロスが出る場所は、この4つです。
- ① 切り置きのロス:仕込みでまとめて切ったカットレモンが、使い切れないまま鮮度を落とす。レモンは切った瞬間から香りが飛び始めるので、傷んで捨てる前に「香りのロス」が先に起きています。
- ② 端と繊維のロス:輪切りの両端、ヘタまわり、くし切りに残る白いワタ。1個から使える部分が思ったより少なく、「仕入れた量」と「グラスに入る量」の差になります。
- ③ 搾り残しのロス:手で搾ったあとの果肉には、まだ果汁が残っています。搾り方しだいで、同じ1個から取れる果汁の量が変わります。
- ④ 発注の読み違いのロス:生レモンは日持ちする食材ではないので、客数が読めない週は多めに仕入れて傷ませるか、少なめに仕入れて品切れさせるかの二択になりがちです。しかも国産レモンの仕入れ値は季節でかなり動くので、高い時期のロスは痛みも大きくなります。
ポイントは、この4つのうち伝票に数字として残るのは④だけということです。①〜③は「レモンってそういうものだから」で流れてしまい、誰も数えていません。だからまず、数えるところから始めます。
まず1週間、「捨てた個数」を数えてみてください
やることは簡単です。1週間だけ、「仕入れた個数」と「捨てた個数」をメモする。捨てた個数には、傷んで丸ごと捨てた分だけでなく、切り置きのまま使わなかったカットレモンも「合わせて1個ぶん」のように概算で入れてください。道具も仕組みもいりません。冷蔵庫の扉にメモを1枚貼るだけです。
数字が出たら、掛け算をしてみます。たとえば1個100円のレモンを1日2個ぶん捨てているなら、月25営業日で5,000円。1杯あたりの原価には見えてこないお金が、月単位にすると急に姿を現します。レモンサワーの原価そのものの考え方は、別の記事(レモンサワーの原価率を下げるには?)で詳しく書いていますが、原価計算とロスの計測はセットで初めて意味が出ます。ロスを数えずに出した原価率は、実際より良く見えているからです。
減らし方①:切り方と、切るタイミングを変える
生レモンを使い続ける前提で、今日からできることが2つあります。ぼくが自分の店で毎日やっていることです。
切り方:包丁を斜めに入れると、繊維のロスが減る
普通のくし切りは、包丁を縦にまっすぐ入れますよね。ぼくのおすすめは、レモンの置き方は同じで、上から見てX字を描くように、包丁を斜めに入れる切り方です。こうすると一切れ一切れから白いワタや芯の繊維がなくなって、上まで果肉がぎっしり詰まった状態になります。ぼくの体感では、同じレモン・同じ本数でも果汁の出方がまるで違います。②の「端と繊維のロス」を、切り方だけで減らせるということです。あわせて、手で搾らずグラスの中で棒(ペストル)でしっかり潰すと、果肉に残る③の「搾り残しのロス」も減ります。皮の油分まで出るので、香りも良くなります。
タイミング:切り置きをやめて、切るのは営業直前に
ぼくの店では、レモンを切ったり皮をピールでむいたりする作業を、あえて仕込みの最後、オープン直前にやるようにしています。理由は2つあって、1つは切った瞬間から香りが飛び始めるから。もう1つは、切りたてのレモンの香りが店内に広がるので、早い時間のお客さんが「いい香りがする」と言って入ってきてくれるからです。切り置きをやめると、①の「切り置きのロス」が構造的に出なくなるうえに、香りという副産物までついてきます。仕込みの段取りを1つ入れ替えるだけなので、コストはかかりません。
減らし方②:数が出る一杯は「皮ごとペースト」に置き換える
ここまでは生レモンの使い方の話でした。ただ、正直に言うと、切り方とタイミングを整えても、④の「発注の読み違いのロス」だけは生レモンを使う限り消えません。生ものだからです。
そこでぼくが卸販売でおすすめしているのが、使い分けです。レモンの姿を見せたい看板の一杯は生レモン。数が出るベースのレモンサワーは、国産レモンを皮ごとまるごとすりおろした、無添加・非加熱のレモンペースト。この組み合わせにすると、ロスの計算が必要なのは生レモンの分だけに絞られます。
- レモンペーストは冷凍で3年もつ:使う分だけ解凍して使えるので、注文が読めない日でも傷みによる廃棄が出ません。④のロスがゼロになります。
- 1杯の原価がブレない:使用量は1杯あたり15g前後、原価は60〜70円前後。生レモンのように「捨てた分が原価に乗る」ことがないので、計算した原価がそのまま実際の原価になります。
- 香りは皮から出る:レモンの香り成分は果汁より皮に多く、加熱すると飛んでしまいます。皮ごと・非加熱のペーストだから、グラスに顔を近づけた瞬間の香りが立ちます。防カビ剤不使用の国産レモンだから、いちばん香りのいい皮まで使えます。
- ピークタイムの手も空く:グラスに入れて炭酸を注ぐだけなので、切る・搾るの工程がなくなります。忙しい時間帯のオペレーションの話は、別の記事(生搾りレモンサワーの手間、どこまで減らせるか)で詳しく書いています。
「捨てない一杯」を、まず1杯作ってみてください
文章で比べるより、実際に作って飲んでもらうのが早いと思っています。飲食店様には無料サンプル(レモンペースト・レモン果汁)をお送りしています。業態と使いたいイメージだけ、LINEでお知らせください。
無料サンプルを相談する(公式LINE)「ぼく自身、生レモンの卸もやっているので、『生をやめてペーストにしましょう』とは言いません。生レモンの香りと見た目は本物です。ただ、全部の一杯を生レモンで作ってロスに悩むより、見せる一杯と数が出る一杯を分けたほうが、生レモンの魅力もお店の数字も、両方守れると思っています。」
— レモンザムライ(レモンサワー専門店「曖昧時空」運営)
よくある質問
- 生レモンをやめて、すべてペーストに置き換えるべきですか?
- いいえ。生レモンの香りと見た目は、ペーストでは出せない魅力です。おすすめは使い分けで、レモンの姿を見せたい看板の一杯は生レモン、数が出るベースのレモンサワーは皮ごとのレモンペースト、という組み合わせにすると、ロスが出るのは生レモンの分だけに絞られます。私たちは生レモンの卸販売もしているので、両方の良さを前提にお話ししています。
- レモンペーストはどのくらい日持ちしますか?
- レモンペーストは冷凍で3年もちます。使う分だけ解凍して使えるので、注文が読めない日でも傷みによる廃棄が出ません。
- レモンペーストは1杯にどのくらい使いますか?原価は?
- レモンサワー1杯あたり15g前後が目安です。1杯あたりの原価は60〜70円前後で、ロスが出ないぶん原価がブレません。
- レモンペーストのサンプルは試せますか?
- はい。飲食店様向けに、レモンペーストとレモン果汁の無料サンプルをご用意しています。公式LINEから業態と使いたいイメージをお知らせください。
まとめ:ロスは「数えた日」から減り始める
レモンの仕込みロスは、切り置き・端と繊維・搾り残し・発注の読み違いの4つの場所で出ています。最初の一歩は、1週間だけ捨てた個数を数えること。次に、切り方を斜めに変えて、切るタイミングを営業直前に動かすこと。そして、数が出る一杯を冷凍3年のレモンペーストに置き換えれば、生ものゆえのロスからは卒業できます。生レモンの魅力を捨てる必要はありません。捨てるのをやめるのは、レモンではなくロスのほうです。
ロスの相談から、サンプルのご依頼まで
「うちの業態だとどう使い分けるのがいいか」という段階のご相談でも大丈夫です。飲食店様向けの無料サンプル(レモンペースト・レモン果汁)をお送りします。
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