「何か季節の企画をやって集客したい。でも何から考えればいいか分からない」。先に答えを言うと、季節フェアでいちばん効くテーマは「旬の初もの」です。そして設計の順番は、テーマ → 期間 → 目玉ドリンク → 仕掛け → 告知の5ステップ。ぼくは自由が丘で、レモンサワーのフェア「レモンヌーヴォー」を2019年から毎年主催しています。今年は参加12店舗×17日間まで育ちました。この記事では、机上の企画論ではなく、ぼくが実際にやってきた手順と数字でフェアの作り方をお話しします。
この記事のポイント
- フェアは「割引」ではない。値段を下げずに「今だけ行く理由」を足す企画
- テーマは「旬の初もの」が最強。始まりに物語があり、終わりの日付が予定を決めさせる
- 設計は5ステップ。テーマと期間が決まる前に、景品や告知から考えない
- 実例:レモンヌーヴォーは1か所の間借り開催から、12店舗×17日間の街のフェアに育った
目次
なぜ季節フェアが、小さな店の集客に効くのか
まず、フェアの正体から。フェアがもたらすのは、割引でもSNS映えでもなく、「今行く理由」です。

①「今だけ」が行く理由になる。「いつでも行ける店」は、いつまでも後回しにされます。終わりの日付があると、人は予定を立てる。②常連さんに「もう一度」が生まれる。いつものお客さんが、いつもと違う一杯を頼む。新しい注文は客単価も会話も増やします。③告知のネタになる。「期間限定でこんなことをやります」は、SNSでも地域メディアでも取り上げてもらいやすいんです。
逆に、フェアでやってはいけないのが安売りです。割引で集めたお客さんは、割引が終わると来なくなります。フェアは値段を下げずに、来る理由を足す企画。ここだけは最初に決めておいてください。
テーマは「旬の初もの」から選ぶ。レモンなら10月
フェアの成否は、テーマ選びでほぼ決まります。そしていちばん強いテーマが「旬の初もの」です。お手本はボジョレーヌーヴォー。あれは「今年のワインが出来ました」という、ただの初もののお祝いです。それが解禁日というだけで、毎年ニュースになり、普段ワインを飲まない人までグラスを傾ける。「始まり」には、それだけで人を動かす力があるんです。
ぼくの場合、それがレモンでした。意外と知られていませんが、レモンには旬があります。国産レモンの初採りは10月に始まり、出はじめの実は皮が緑色。いわゆるグリーンレモンです(10月からは瀬戸田レモンの時期です)。この「初もののレモンを、レモンサワーで楽しむ」をテーマに据えたのが、ぼくのフェア「レモンヌーヴォー」です。
あなたのお店にも、必ず「初もの」はあります。新酒、新茶、初鰹、新そば、走りの野菜。選ぶ基準は2つだけ。自分の店の看板メニューにつながることと、「始まりの日」を言い切れること。この2つがそろうテーマなら、告知の文章は勝手に書けます。
実例:レモンヌーヴォー。間借り1か所から12店舗になるまで
「そうは言っても、うちは小さい店だし」と思った方にこそ、うちの実例をお見せしたい。最初から大きかったわけでは、まったくないからです。

2019年の初回は、自由が丘のお店を間借りした1か所だけの開催でした。ぼくの作るレモンサワーと、料理研究家の方とのコラボのレモン料理、レモン農家さんのトークセッション。翌2020年はコロナでお酒が出せなくなって、八百屋さんの一角を借りてレモンを山積みにして売りました。正直、フェアと呼べる形ですらなかった年もあります。
形になってきたのは、自分の店を持ってからです。去年は店のある通り沿いの6店舗を巻き込んだ「レモンサワーのはしご酒」に。そして今年は参加12店舗×17日間(10月15日〜31日)。4店舗まわると缶バッジ、8店舗でトートバッグかサコッシュ、全12店舗制覇でオリジナルキャップ、という景品も付けました。開幕をはさむ7日間だけで、特設サイトの読者は632人。そのうち125人、およそ5人に1人が「どの店に行くか」のページまで進んでいます。
いちばん嬉しかったのは、「気になってはいたけど行く機会がなかったお店に、このイベントをきっかけに行けた」というお客様の声です。フェアは主催した店だけでなく、参加した店にも新しいお客さんを連れてくる。だから街に広がっていきます。
フェアの目玉になる一杯、素材からご一緒します
皮ごとすりおろした生レモンペーストと国産ストレート果汁を、飲食店様に卸しています。
無料サンプルと、卸価格・取引の流れをお送りします。業態を伺ってフェア向きの使い方もご提案します。
小さな店でもできる、フェア設計の5ステップ
ここからが本題の設計図です。順番を間違えないでください。景品や告知から考え始めると、だいたい迷子になります。

① テーマを決める:「旬の初もの」を1つ選ぶ
前の章のとおり、看板メニューにつながる初ものを1つ。欲張って2つ以上のテーマを混ぜると、告知がぼやけます。
② 期間を決める:旬に合わせて2〜3週間
うちは最初、2日間でした。すると「行きたかったのに予定が合わなかった」という声が必ず出る。かといって長すぎると「今だけ」の力が消えます。旬が続く範囲で2〜3週間、終わりの日を必ず決めて告知に書く。これが答えです。忘年会シーズンのような繁忙期に重ねる設計なら、忘年会ドリンクの読みものも参考にしてください。
③ 目玉ドリンクを「1杯」に絞る
「この期間しか飲めない一杯」を作ります。ポイントは1杯に絞ること。フェアメニューが5種類あると、お客さんは選べず、仕込みは重くなり、写真もぼやけます。原価は先に計算してください。ぼくの感覚では、目玉の一杯は多少原価をかけてもいい。その一杯が客寄せになって、2杯目以降とフードが利益を作ります。
④ 「もう1杯・もう1軒」の仕掛けを足す
スタンプカードや景品は、ここで初めて考えます。目的は豪華さではなく「おかわりの後押し」。うちの景品も、入口は缶バッジです。原価の小さいもので、達成の楽しさを作ってください。
⑤ 告知は1か月前から始める
順番は、店頭POP → SNS → プレスリリース。店頭が最初なのは、フェアの最初のお客さんは常連さんだからです。そしてプレスリリースを侮らないでください。「旬の初もの」のフェアは季節の話題そのものなので、地域メディアが拾ってくれます。今年のレモンヌーヴォーも、プレスリリースからラジオ出演と地域サイトの取材につながりました。
一度きりで終わらせないために
フェアの本当の価値は、2回目以降に出ます。毎年同じ時期にやるから「そろそろあれの季節だね」と覚えてもらえる。実際ぼくも、10月が近づくと「今年のレモンヌーヴォーはどうするの?」と声をかけていただけるようになりました。ここまで来ると、フェアは集客施策ではなく、店の年中行事になります。
そのために大事なことが2つ。1つは、数字で振り返ること。期間中の目玉ドリンクの杯数、新規のお客さんの数、告知の反応。感想ではなく数字で残すと、翌年「どこを伸ばすか」が決められます。もう1つは、お客さんと参加店の両方が満足して終わること。正直に言うと、ぼくは毎年、蓋を開けるまで不安です。それでも「参加してよかった」と思ってもらえないと続くイベントにはならないので、今年も全力でやっています。
「フェアで無理に売ろうとしなくていいんです。『今だけの一杯があるから、久しぶりにあの店に行こう』。そのきっかけを作るのがフェア。売上はきっかけの数についてきます。」
— レモンザムライ(レモンサワーフェア「レモンヌーヴォー」主催)
よくある質問
- 1店舗だけでも、
季節フェアはできますか? - できます。ぼくのフェアも最初は1か所の間借り開催でした。1店舗なら「この期間しか飲めない目玉ドリンクを1杯作って、終わりの日を決めて告知する」。それだけでフェアとして成立します。複数店舗の巻き込みは、1店舗でうまくいった後でいい。
- フェアの期間は、
どれくらいが目安ですか? - 旬に合わせて2〜3週間が目安です。1〜2日だと予定が合わない人が来られず、長すぎると「今だけ」の力が消えます。ぼくのフェアは最初2日間で、「行きたかったのに行けなかった」の声を受けて17日間に伸ばしました。終わりの日を決めて告知に書くことが大事です。
- 景品やスタンプラリーは、
必ず必要ですか? - 無くても成立します。景品の目的は「もう1杯・もう1軒」の後押しで、主役はあくまで目玉ドリンクです。付けるなら缶バッジのような原価の小さいものから。高い景品で釣るより、達成の楽しさを作るほうが効きます。
- フェアのために仕入れた素材が、
余りそうで心配です - 生ものだけで組むと、フェア終了後のロスが怖くなります。ぼくが卸しているものだと、皮ごとすりおろした生レモンペーストは冷凍で3年もつので、フェアで使い切れなくても通常メニューでそのまま使えます。まず無料サンプルで味を確かめてから量を決めるのが安全です。
まとめ:フェアは「今だけ行く理由」を設計する仕事
季節フェアは、割引ではなく「今だけ行く理由」を足す企画です。テーマは旬の初ものから1つ。期間は2〜3週間で、終わりの日を言い切る。目玉ドリンクは1杯に絞り、仕掛けは小さく、告知は1か月前の店頭から。ぼくのレモンヌーヴォーも、間借り1か所の開催から始まって、今年は12店舗×17日間まで育ちました。最初の一歩は、あなたの店の「初もの」を1つ決めることです。

「うちの初もの、レモンでやってみようかな」と思ったら
10月からの初採りレモンの季節は、レモンサワーフェアのいちばんの好機です。
皮ごとすりおろした生レモンペーストと国産ストレート果汁の無料サンプル、卸価格・取引の流れをお送りします。
飲食店の方へのご案内を見る